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メタポリックシンドロームをご存知ですか?

あなたも胸囲を測ってみましょう!

 「グルメブーム」「車社会」「カウチポテト族」などの言葉に代表されるようにカロリー摂取の増加と栄養の偏りおよび運動不足とがあいまって体に必要以上に脂肪がたまった状態、つまり肥満が社会的・医学的な問題となってきています。肥満には高頻度に合併症がともなうことが明らとなっていますが、とくに高血圧症・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症などに代表される代謝異常の合併が問題となります。なぜならば、これらの代謝異常の合併は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳卒中(脳梗塞、脳出血など)などのいわゆる「動脈硬化(血管が老化して固くなり、内腔が狭くなってくる状態)」が進む原因となるからです。
 最近では、肥満にともなうこれらの合併症はすべての肥満に認められるのではなく、腹腔内に脂肪のたまった肥満(お腹のなかの内臓の周りに脂肪がたまった状態で、この脂肪を内臓脂肪といいます)に特に合併症が多いことが明らかとなり、これを合併症がなく普通に太っている状態の肥満(単純肥満)と区別して「肥満症」または「内臓脂肪型肥満(また内臓肥満)」と呼び、他の単純肥満よりも「悪い肥満」であることがわかりました。このたまった内臓脂肪の量はこれまで腹部CT検査などを用いて大学など一部の専門医療機関で測られていましたが、身近な日常診療において測ることが困難でした。そこで、内臓脂肪のたまった量の簡単な指標として「腹囲」を測ることが勧められるようになりました。つまり、腹囲(いわゆるウエストではなく、臍(へそ)周囲で測った腹囲)がある程度正確に内臓脂肪量の目安になることが明らかとなったのです。
 では、何故この内臓脂肪がたまると「悪い肥満」とみなされるのでしょうか?それはこの内臓脂肪がたまると、体全体としては太っていない(標準体重である)にもかかわらず、これまでに述べた色々な合併症がともないやすいことが明らかとなってきているからで、これを「内臓脂肪症候群」とも呼ぶこともあります。つまり、今や「太っていることそのもの」よりも、「内臓脂肪のたまった状態」がより悪いと考えられるようになったのです。ここでこの「悪い」の意味は「現在または近い将来に動脈硬化の原因となる高血圧・糖尿病・高脂血症などの合併症をともないやすい」ということです。つまり、これらの合併症を持たなくすることによって将来の心筋梗塞や脳卒中などを予防できる可能性があります。
 さらに「悪い」ことにこの内臓脂肪がたまったことによるこれらの合併症は、一つ一つは軽くて必ずしも治療を必要とすることがないため、そのまま放っておかれることも多いものです。しかし、これらの小さな異常、軽症の高血圧、軽症の糖尿病(糖尿病になりかけなどと表現される)、軽症の高脂血症などを一人の人間が重なって持つと、将来において心筋梗塞や脳卒中の頻度が非常に高くなること(例えば3つ以上あると約30倍)がわかっています。この状態を以前は「マルチプルリスクファクター症候群」と呼んでいたのですが、この症候群の大本は、これまでに説明してきましたように「内臓脂肪の蓄積」なのです。
 そこで、2005年4月に日本の8つの学会が共同で「内臓脂肪がたまったことによって色々な代謝異常症が一人の人に重なって、将来において非常に心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化症を起こす可能性が高い状態」を「メタボリックシンドローム」と呼ぶことに統一し、その診断のための指標を作成しました。要約しますと、腹囲(へその周囲径)によって内臓脂肪がたまっているかどうかを判断し、内臓脂肪がたまっている(男性85cm以上、女性90cm以上)と考えられる人で高血圧、糖尿病、高脂血症のそれぞれの基準のうち2つ以上を持つ人を「メタボリックシンドローム」としてより注意深く診療・経過観察することによって生活習慣の改善を促し、必要なら薬物療法をも考えながら、将来の心筋梗塞、脳卒中を予防しようと言うことになります。
 このメタボリックシンドロームの大本とされる内臓脂肪は幸いなことに食習慣の改善や運動などによく反応して減りやすいものです。従って、メタボリックシンドロームに対する治療はまずこの食習慣の改善や運動療法などの「生活療法」となります。ただ、生活療法にこだわり続けていたずらに治療を1年2年と遅らせることも避けるべきで、必要なら個々の糖尿病、高血圧、高脂血症などに対する薬物療法も考えていく必要があります。
 その他、わかりにくいことがありましたら、お気軽にご相談下さい。

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